「もしかして、うちの子は学習障害かもしれない」——そう思った瞬間から、胸のざわつきが消えませんよね。丁寧に教えても固まり、文章が読めず問題に手が出ない。数や時計もなかなか定着しない。わが家もまったく同じでした。本記事は、「学習障害 小学生 どうすれば」という不安に、父である私の実体験をもとに今日から家庭で試せる具体策だけをまとめたものです。読んだあと、あなたの毎日が少しでも軽くなるように——そんな願いを込めて書きました。
学習障害(SLD)とは?——親がまず知っておきたい基礎
学習障害(Specific Learning Disorder/SLD)は、全体的な知的発達に遅れがないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算・数概念」など特定の領域で強い困難が続く状態です。代表例は以下の三つ。
- 読みの困難(ディスレクシア)
- 書字表出の困難(ディスグラフィア)
- 算数・数処理の困難(ディスカリキュリア)
これはやる気や努力のせいではありません。情報処理の特性やワーキングメモリの負荷などが関与し、支援の“やり方”次第で進み方が変わるのがポイントです。学校ではふりがな・レイアウト調整・読み上げ・テスト時間の配慮などの合理的配慮が検討されます。家庭は負荷をほどく→段階を細かくする→できた実感を積むが基本方針となります。
わが家の「学習障害かも」と感じた具体的な内容
- 読む・書くのつまずき
- 短い文でも最初から読み直しが多い/行を飛ばす。
- 同じひらがな・カタカナが毎回“初見”になる(すぐ忘れる)。
- 似た形の文字を入れ替える(れ↔ね、め↔ぬ など)/文字の向きや順序があやしい。
- 音読はできても、読んだ内容が頭に残らない。
- 算数・数の感覚のつまずき
- 具体物がないと数の増減をイメージできない(「今いくつ?」に固まる)。
- 簡単な計算でも、手順のどこでつまずいたか説明できない。
- 1の位・10の位の意味がつかめず、位取り表を見ても桁がずれる。
- 時間・順序のつまずき
- ページ番号/曜日/季節/時計が何度教えても定着しにくい。
- 「先→後」「右→左」など並びや順序の見通しが苦手。
- 学習の入り方・続け方
- 丁寧に教えるほど**「わからない」でフリーズ→放棄へ。
- 宿題に着手するまでが長い/とにかく開始が重い。
- 間違いを指摘されると強く拒否し、その後の学習が止まる。
- テスト・授業で見えたこと
- 問題文が読めない→何をすればいいか分からないで、手が止まる。
- 先生の説明は聞けていても、やる手順に移せない。
- 見直しの仕方が分からない(同じミスを繰り返す)。
これらはわが家の日常で気づいたサインであり、診断そのものではありません。
ただ、困りが“継続”していると感じたので、私たちはやり方(入口・負荷・成功の設計)を変えるところから始めました。国語と算数で取り組みを変えたので、その点ふまえてご紹介します。
国語:好き×学びのシンクロで「読む・わかる」を起動
読みが苦手な子は、「内容理解」と「文字を追う作業」を同時にやると負荷が高くなりがちです。そこで、好きな題材で動機づけをつくる+読みの負荷を小さく刻むの2本柱で進めます。狙いは、(1)自分から読みたい気持ちを起こす、(2)“読めた→わかった”の小さな成功体験を連続させることです。
1) ポケモンで「かな・ことば」導線(ポケモンドリル活用)
狙い:好きなキャラクターで、音と字形の対応をラクにする。
やり方:
- キャラ名→わざ名の順に、ひらがな→カタカナで段階化。
- 親が1行見本→子は指なぞりで追う→翌日は自力読み(詰まった語だけ親が代読)。
- 3〜5分で終了。読めた語にチェック/シールで可視化。
コツ: - 読めた瞬間に即ほめ(「すごい!できたね!」と復唱)。
- 同じページを2〜3日まわして“読めた感”を貯める。
▼ポケモンドリルひらがな・カタカナ
https://amzn.to/4gYElo2
2) カービィで「自発読み→物語理解」まで一気通貫(4コマ&漫画)
狙い:好きなキャラクターの短文で“読み切れた”を積み、物語の筋へ自然に進む。
うちの子はカービィが大好きでした。
やり方:
- スタートは4コマなど短いコマ×オチで“読み切り”の快感を作る。
- 慣れてきたらふりがな付きの物語ページへ。セリフ少なめの回から始める。
- 読後は「だれが?」「何をした?」「どうなった?」という質問をする。
コツ: - 1〜2ページで切り上げて“もう少し”を残す。
- 「難語は雰囲気OK」ルールで読了優先、理解は後追い。
- 章の最初と最後のコマだけ再確認して、筋の見取り図を作る。
▼カービィの4コマ漫画です。まずはここから
https://amzn.to/3VZlhfA
▼4コマに慣れたら漫画にチャレンジしてみましょう。
https://amzn.to/4msNKG4
3) チャレンジタッチは“ゲーム化の役割”
狙い:「毎日やる自分」を作る装置。チャレンジタッチは自分だけのタブレットがもらえるということでタブレットに触れる習慣が身に付きやすいと思います。ゲーム感覚で勉強が見に着くアイテムとして活用しています。
やり方:
- 毎日5〜10分×固定時間(例:朝食前)。
- 目標は正解率ではなく「開始できたら合格」。
コツ: - 終わりを先に宣言(例:「今日は2ステージでおしまい」)し、連続成功を最優先。

①ポケモン図鑑やドリルで文字と音の対応を軽くし、②カービィ漫画で自発読み→物語理解までを滑らかに、③チャレンジタッチで毎日の習慣化**を支えます。
算数:むずかしい言葉は使わないでOK。「手→絵→数字」で少しずつ
- いきなり文章や式にしない。まず手でさわる。
- 次に、絵で見えるようにする。
- さいごに、数字に置きかえる。
これだけです。1回は3〜5分でおしまいにします。
① 手でわかる(3分)——おはじき・ブロック・10玉そろばん
ねらい:数は“量”だと体で感じる。
やり方
- おはじきを5こ出す→2こ足す→いま何こ?(声かけ:「いま5、ここに2、あわせて?」)
- ひくときは、7こ出す→2こよける→のこりは?
- 10個集まったら輪ゴムで束ねる。「10が1つできた!」と言葉でセットにする。
コツ - 言うことは毎回同じに:
- たし算=「そろえる→あわせる→数える」
- ひき算=「そろえる→よける→のこり数える」
② 絵でわかる(2分)——丸シールと□メモ
ねらい:頭の中のモヤモヤを、紙に見える形にする。
やり方
- 紙に**□□□□□**(四角)を書いて、丸シールを並べる。
- たし算:左に5枚、右に2枚→まんなかでくっつける→数える。
- ひき算:7枚貼る→2枚はがす→のこりを数える。
声かけテンプレ - 「なにがふえた? なんまい? いまなんまい?」
- 「なにをよけた? なんまい? のこりは?」
③ 数字にする(1分)——最後にちょこっと式
ねらい:むりなく“数字の形”を知る。
やり方
- ①か②でできたら、最後に1本だけ式を書く。
- 例:5と2をくっつけた → 5+2=7
- 例:7から2をよけた → 7−2=5
ポイント
- 式はおまけでOK。むずかしい日は書かないでもかまいません。
④ 文章題は“読むのは大人、さわるのは子ども”(2分)
やり方
- 大人が短く読む:「りんごが5こ。2こ ふえたよ」
- 子どもは①や②の手や絵で再現。
- 言えたら合格:「いま何こ?」→「7こ!」
- できたら終わり。式は気力があれば1本だけ。
迷ったらこのミニ・ルーティン(毎日3〜5分でOK)
- 手で1回(おはじきで 5+2/7−2 など)
- 絵で1回(丸シールで同じこと)
- 数字は気力があれば(式を1本だけ)
合言葉:「始めたら合格。短く終わる」。できたらシール1枚、以上!
よくあるつまずき→その場の直し方
- 数えるときに迷う → 指で左から一列に並べ直す(ごちゃごちゃをやめる)。
- 10のまとまりがピンとこない → 10個できたら輪ゴムで束ねて「10が1つ」と言う。
- 文章で止まる → 大人が名詞と数だけ読んであげる(「りんご5、2ふえた」みたいに)。
- 途中で飽きる → そこで終了=成功にする。“また明日”で止める。
相談先と次の一手(評価・支援の窓口)
- まずは担任→校内の支援チームへ。校内での合理的配慮・通級の検討がしやすくなります。
- 教育委員会の就学・教育相談:学びの場(通常学級+通級、特別支援学級など)や支援の選択肢を確認。
- 地域の発達支援センター/医療・心理機関:必要に応じ、認知特性の把握(例:検査)で優先順位を可視化。
結果(ビフォー→アフター)
うちの娘は小学1年生ですが、定期的に続けることで下記のように成長することが出来ました。
- 授業には何とか追随できるように。
- テストは比較的高得点が増えた。
- なお基礎概念の抜けは時折見えるが、毎日の学習習慣が定着し、日々の成長が実感できる段階へ。
親としては、「理解させる」より先に「続けられる場」を用意することの大切さを学びました。
よくある質問(FAQ)
Q1. 学習障害はいつわかる?
A. 小1〜小3で読み書き・数のつまずきが継続して見えるケースが多いです。心配が続くなら、担任→校内の支援チーム→地域の相談窓口の順で早めに動くとスムーズ。
Q2. 親が最初にやることは?
A. 読む負荷を肩代わりしつつ、好きな題材と接続、5分×3セットで連続成功を作る。点数ではなく開始行動を褒めるのがコツ。
Q3. 文章題が全滅です。
A. 絵や具体物で状況再現できたら合格にし、式は次の段階へ。1問=1タスクに分けると前に進みます。
Q4. レベル設定はどう決める?
A. “できるが8割”の下限から開始。3〜5日連続成功のあとに小刻みに上げます。
まとめ——完璧より継続。小さな勝ちを積み上げる
- 好きな世界観で入口を作り、読む負荷を軽くして、手を使って見える化→式へ。
- 短時間×低ランク×毎日で、始められた=合格の設計に。
- 今日の「始められた」が、明日の「自分で読めた」を連れてきます。親子で小さな勝ちを重ねていきましょう。