日本語サイトで「雰囲気」と「読みやすさ」を同時に決めるのがフォント選び。なかでも Google Fonts の日本語無料フォントは、商用利用もしやすく、デザインの方向性に合わせて使い分けやすいのが魅力です。とはいえ、ゴシック・明朝・丸ゴ・手書き風…と選択肢が多く、「結局どれを見出しにして、どれを本文に置けばいいの?」と迷いがち。
本記事では、現場で使いやすい 日本語フォント15選を厳選し、強み/弱み・ハマる用途・配置(見出し/本文/UI)を統一フォーマットで解説します。まず“何に強いか”が一目で分かるように整理し、さらに相性の良い組み合わせレシピやシーン別(SaaS/メディア/教育/美容/EC/採用)の即決案も用意。世界観を作りたい特集記事から、情報量の多いUIまで、迷わず決められる内容です。
すべて Google Fonts で入手できる無料フォントのみを掲載しています。ブランドの声色を整えたい、読み心地を改善したい、サイトの第一印象を底上げしたい——そんなときの“保存版カタログ”としてお役立てください。
ゴシック(UI/本文の土台)
1) Noto Sans JP
- 一言まとめ:迷ったらこれ。汎用性最強の地の文ゴシック。
- 強み:長文でも流れが良い/UIにも破綻しない/太字の効きが素直
- 弱み:個性演出は控えめ(世界観づくりは別フォント併用が前提)
- おすすめ配置:見出し○|本文**◎|UI◎**
- 合うトーン:信頼・誠実・整理整頓
- 相性レシピ:見出し=Zen Kaku 700 × 本文=Noto Sans 400
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
https://81-web.com/font/noto-serif
2) Zen Kaku Gothic New(ZEN角ゴシック)
- 一言まとめ:情報量が多い画面で“見出しを通す”直線基調。
- 強み:見出しがシャープ/表やナビで見分けやすい/スピード感
- 弱み:可愛げ・柔らかさは出にくい
- おすすめ配置:見出し**◎|本文○|UI◎**
- 合うトーン:ニュース・テック・スピーディ
- 相性レシピ:見出し=Zen Kaku 700 × 本文=Noto Sans 400
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
https://81-web.com/font/zen-kaku-gothic/
3) BIZ UDGothic
- 一言まとめ:案内・業務文脈で誤読を抑えるUDゴシック。
- 強み:可読性基準が明確/フォームやマニュアルで安心/数字・記号の視認
- 弱み:ブランド色は出にくい
- おすすめ配置:見出し○|本文**◎|UI◎**
- 合うトーン:公共性・公平・誠実
- 相性レシピ:本文=BIZ UDGothic × 補助見出し=Zen Maru 700
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
4) M PLUS 1
- 一言まとめ:中庸でまっすぐ。“気取らず今っぽい”。
- 強み:どのUIにも乗りやすい/太さ選択で微調整が効く/説明文に向く
- 弱み:強い主張は作りにくい
- おすすめ配置:見出し○|本文**◎|UI◎**
- 合うトーン:フラット・現代的・清潔
- 相性レシピ:見出し=Zen Kaku 600–700 × 本文=M PLUS 1 400
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
5) Kosugi(小杉)
- 一言まとめ:とことん素直。ドキュメント向けの地の文担当。
- 強み:長文でも疲れにくい/説明系に溶け込む/装飾とケンカしない
- 弱み:太字の演出力は控えめ
- おすすめ配置:見出し△|本文**◎**|UI○
- 合うトーン:マニュアル・ヘルプ・知識ベース
- 相性レシピ:見出し=Zen Kaku 700 × 本文=Kosugi
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
明朝(読み物・格式)
6) Noto Serif JP
- 一言まとめ:読み物の“正解”。落ち着きと品。
- 強み:長文耐性/見出しも上品に立つ/幅広いテーマに馴染む
- 弱み:ゴシックUIとは役割分担が前提
- おすすめ配置:見出し○|本文**◎**|UI△
- 合うトーン:知的・信頼・教養
- 相性レシピ:見出し=Zen Old Mincho × 本文=Noto Serif 400
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
7) Zen Old Mincho(ZENオールド明朝)
- 一言まとめ:レトロな趣で物語の空気を即席で作る。
- 強み:タイトルの存在感/写真や余白と合わせて世界観づくり/記憶に残る
- 弱み:カジュアルなUI全般には過剰になりがち
- おすすめ配置:見出し**◎**|本文○|UI△
- 合うトーン:カルチャー・雑誌・ストーリー
- 相性レシピ:見出し=Zen Old Mincho × 本文=Noto Serif
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
8) BIZ UDPMincho
- 一言まとめ:公的・教育の“きちんと感”を担保する明朝。
- 強み:UD思想で可読性/数字・記号が混在しても安定/資料・報告に強い
- 弱み:遊びの表現には不向き
- おすすめ配置:見出し○|本文**◎**|UI△
- 合うトーン:フォーマル・規範・真面目
- 相性レシピ:本文=BIZ UDPMincho × UI=BIZ UDGothic
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
9) Shippori Mincho(しっぽり明朝)
- 一言まとめ:上品でのびやか。読み物とブランドの橋渡し。
- 強み:本文と見出しの両用がしやすい/余白を活かせる/“柔らかな格”
- 弱み:硬派過ぎる行政文書にはやや情緒的
- おすすめ配置:見出し**◎|本文◎**|UI△
- 合うトーン:ブランドストーリー・エッセイ・コラム
- 相性レシピ:見出し=Shippori 700 × 本文=Shippori 400(UIはNoto Sans)

■参考WEBデザイン
10) Sawarabi Mincho(さわらび明朝)
- 一言まとめ:軽やかな明朝。注釈や短文に取り回し良し。
- 強み:素直で扱いやすい/キャプションや補助見出しが得意/小規模サイトに合う
- 弱み:重厚な世界観づくりには力不足
- おすすめ配置:見出し○|本文○|UI△
- 合うトーン:ライト・清潔・ミニマル
- 相性レシピ:本文=Sawarabi × UI=Noto Sans
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
丸ゴシック体(親しみ・やさしさ)
11) Zen Maru Gothic
- 一言まとめ:太い見出しで歓迎感を出す丸ゴの主役。
- 強み:見出しの吸引力/教育・採用の親和性/ポジティブな空気
- 弱み:本文に全面適用すると幼くなる
- おすすめ配置:見出し**◎**|本文△|UI○
- 合うトーン:フレンドリー・ウェルカム・コミュニティ
- 相性レシピ:見出し=Zen Maru 700 × 本文=Noto Sans
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
12) Kosugi Maru(小杉丸)
- 一言まとめ:控えめな丸みでUIにも馴染む“やさしい常用”。
- 強み:UIラベルや小見出しに最適/過度に子どもっぽくならない
- 弱み:強い個性は出にくい
- おすすめ配置:見出し○|本文△|UI**◎**
- 合うトーン:安心・親近感・落ち着き
- 相性レシピ:UI=Kosugi Maru × 本文=Noto Sans(見出しに少量Zen Maru)
■フォントスタイル

■参考WEBデザイン
13) Kiwi Maru(キウイ丸)
- 一言まとめ:ふっくら可愛い。“ここぞ”の一言で効かせる。
- 強み:リードやバナーの吸引力/生活・趣味系と好相性/親和的
- 弱み:本文全面には向かない
- おすすめ配置:見出し**◎**|本文△|UI○
- 合うトーン:やわらか・親しみ・日常
- 相性レシピ:見出し=Kiwi Maru × 本文=Noto Sans/UI=M PLUS 1
■フォントスタイル

手書き/表示(ニュアンスづくり)
14) Klee One(クレーワン)
- 一言まとめ:手書き寄りでも読みやすい。注意書き・学習が得意。
- 強み:説明・補足の“声色”を変えられる/親しみと秩序の中間
- 弱み:本文全面だと“ノート感”が強くなる
- おすすめ配置:見出し○|本文△|UI○(注記)
- 合うトーン:学び・やさしい注意・コミュニティ
- 相性レシピ:本文=Noto Sans × 補足=Klee One
■フォントスタイル

15) Zen Kurenaido(ZEN紅道)
- 一言まとめ:細身で端正。ラグジュアリーな見出しに最適。
- 強み:余白と合わせて上品さを演出/タグラインで印象付け
- 弱み:小さい本文は読みにくい
- おすすめ配置:見出し**◎**|本文△|UI○(短文)
- 合うトーン:ミニマル・上品・静けさ
- 相性レシピ:見出し=Zen Kurenaido × 本文=Noto Serif(UIはNoto Sans)

迷ったらこの“型”
- ニュース/UI多め:Zen Kaku(見出し) × Noto Sans(本文)
- 読み物重視:Zen Old Mincho(見出し) × Noto Serif(本文)
- 教育/公共:BIZ UDGothic(UI/本文) × BIZ UDPMincho(資料)
- ブランド/コスメ:Zen Kurenaido(見出し) × Noto Serif(本文)
- コミュニティ/採用:Zen Maru(見出し) × Noto Sans(本文)
- 技術ブログ:Zen Kaku(見出し) × M PLUS 1(本文)
まとめ
日本語サイトの印象は、見出し・本文・UIの“役割分担”で決まります。本文の軸に Noto Sans JP か Noto Serif JP を据え、見出しで Zen Kaku Gothic New や Zen Old Mincho を合わせ、文脈に応じて BIZ UD 系や Zen Maru/Zen Kurenaido を差し込めば、世界観と読みやすさが両立します。本稿の15書体はすべて Google Fonts の無料フォント。あとは組み合わせレシピをなぞって一行ずつ置き換えるだけで、迷いなく“そのサイトらしい声”が立ち上がります。
関連
- Google Fonts 日本語ガイド(詳細・Q&Aはこちら)
https://chiitanblogz.com/google-fonts-japanese-guide/#google_vignette
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